DX(デジタル・トランスフォーメーション)という言葉が最近よく使われるようになりました。

パソコンやインターネットの普及によって情報がデータ化し、
業務の効率化や情報の整理が格段にしやすくなりましたが
DXは情報をデータ化するだけではなく、
データの使い方やデータ処理の方法についても積極的にシステムを活用することで、
その産業に関わるプレイヤーや業界構造そのものに大変革をもたらそうとする試みです。
このDXの波がとうとう不動産業界にも押し寄せようとしています

不動産業界といえば長い間デジタル化・IT化が進まない業界といわれていましたが、
とうとうIT・IOTによる大きな変化がもたらされる機が熟したということでしょう。
今回は、不動産業界におけるDX化について最新事例を交えて紹介します。

不動産業界にいる人はもちろん、
他の業界の人にとっても大きなチャンスですので、ぜひ最後までお読みください。

不動産業界にDXを導入したらどうなる

DXと一口にいっても、さまざまな類型があります。
デジタル化によって自社の業務プロセスシームレスにつなぎ、
業務効率を上げたり、顧客の情報をデジタル化し、顧客サービスの
質の向上や効率化につなげる試みはさまざまな業界で進められています。
不動産業界のDX化は、社内のDXと社外のDXが同時に行われているといってよいでしょう。

顧客サービスに関していえば、
DX導入によって顧客への物件紹介、内覧から契約の日取りの設定までの事務的な手続きを
データ管理とアプリの導入によって一元的に実現するということが可能になります。

またコロナ禍のなかで非対面・非接触がキーワードとなっていますが、
部屋の内見をVR(バーチャル・リアリティ)で行うサービスも出始めています。
社内業務においても顧客管理や物件管理、賃貸状況や募集状況を一元化してデータ管理し、
業務の効率化を図ろうとする動きもあります。

不動産業務におけるDXの本格的な導入が始まったといえるでしょう。

不動産業界はなぜDX化が進まないのか

いままで不動産業界はDX化どころか、
情報のデータ化やWebサービス自体もあまり発展してこなかった面があります。

皆さんも、賃貸物件を探すときには、
街の不動産屋さんが未だにFAXでやり取りを行い、
物件の鍵のやり取りを電話で行っている姿を見たことがあるでしょう。

物件の検索システムだけは導入されていますが、これも15年前からほとんど変わっていません。
これは、不動産業界は横のつながりが強く、
一社だけで完結する業務ではないことが大きく影響しています。
一社だけがITを持ち込んだとしても、仲介相手がアナログだとアナログに引っ張られてしまうのです

また、不動産は場所、広さ、間取り、法規制など
細かいデータをたくさん処理する必要があります。
だからこそデータ化すべきなのですが、以前から使っているエクセルや管理システムから
新しいシステムに移行するために多大な労力と費用が必要となります。
このような事情から、どうしてもDX化が後回しにされてきたのです。

不動産業界がDXを導入するメリット

しかし、昨今の時代の流れから、DX化のメリットに気づいて先んじて
DX化を進める企業が不動産業界にも現れました。
不動産業界はDX化がすすまなかった業界だからこそ、
以下に挙げるようにDX化自体が企業の強みとなるのです。

他社との差別化がつけやすい

物件紹介などの顧客サービスにDXを導入すれば、
顧客の手間や時間が大幅に削減でき、成約率が高まります。
不動産業界は保守的で横並びの性質が強いために、
不動産サービスの提供の仕方を少し変えるだけで、
他社との差別化をアピールすることができる利点があるのです。
実際に、上場企業である不動産会社がDX銘柄に選ばれただけで、
株価が4倍になったケースもあるほどです。

業務の効率化や働き方改革がしやすい

不動産会社は営業所やモデルルームでの営業、顧客の内覧付き添いなど、
もともと働く場所が1つの場所に定まらない社員も大勢います。

今までは社内のシステムにアクセスするために遠くの現場から会社に戻って
パソコンからシステムにアクセスするということが日常でしたが、DXで情報を一元化し、
どこからでもアクセスできるようにすれば、それだけで大きな業務の効率化につながります。

不動産業界は業務委託やパートタイマーも多く、
宅建士の資格を武器に、週末だけ営業所で勤務する方も大勢います。
このように多様な働き方を受け入れてきた業界ですから、
DX化によってさらに働き方改革が加速することでしょう。

新しいサービスを創出しやすい

どの業種においても、不動産を使わない業種はありません。
店舗、倉庫、事務所、病院、どれもこれも不動産です

そのため、DX化によって不動産サービスは、
単に月単位で賃貸するだけのサービスから、いろいろな業種を巻き込んで
多様なサービスや価値を付加したサービスへと変貌を遂げようとしています。

例えば、アプリへの登録によって登録者の健康状態や行動パターンをデータ化し、
街が一体となって個人に最適なサービスを提案できるような実験的な取り組みを行っているところもあります。

 

次回は不動産業界におけるDX導入の最新事例についてご紹介します。

このブログを書いた人

コンスピリート・ブログライター
コンスピリートの公式ブログライターが 不動産に関するお役立ち情報をお届けします。