地価は需要と供給のバランスで決まってきます。その需給のバランスが壊れるのではないかと心配されているのが生産緑地2022年問題です。

今回は、そもそも生産緑地2022年問題とは何か、また生産緑地問題が地価に与える影響について詳しく解説します。

生産緑地とは

生産緑地とは、都市計画法に基づいて生産緑地地区として指定された農地をいいます。

生産緑地は市街化区域内の農地に指定されるため、住宅街の一角の農地について生産緑地の看板が表示されているのを見かけることも多いことでしょう。

東京都を例にとると、23区内では395.64ha、市部では2576.73haとかなりの面積が生産緑地に指定されています。

 

生産緑地のメリット・デメリット

生産緑地制度は高度成長期における無計画な宅地開発を抑制し、保全する農地と宅地化する農地を分けて取り扱うことで、健全な都市の発展を促進したものです。

この目的のために、生産緑地農家は税制面で優遇策を用意する半面、農地として維持していくための制限を設けました。

 

税制面で優遇される

生産緑地の所有者から贈与もしくは相続によって農地を取得し、農業を継続する場合には、相続税・贈与税がかなり軽減されます。

制度が始まった当時の都市部の農地の財産評価は急激に上昇していたために、相続税のために農地を売却せざるを得ないケースが多かったのです。

そのため、贈与税・相続税の軽減措置を受けるために、都市部の多くの農地が生産緑地の指定を受けました。

また、固定資産税の軽減が受けられる点についても大きなメリットです。

生産緑地は農地としての利用を前提として固定資産税評価額が決められたため、一般の土地よりも税額がかなり低く抑えられています。

 

様々な行為制限がかけられる

生産緑地に指定されると、その後は農地として維持・管理しなければなりません。

期間は、指定の日から30年間もしくは所有者が亡くなるまでと定められています。

このほか、建物の建築や開発行為についてもかなり制限されます。

農業を継続するために必要な小屋や保管施設、生産物の加工施設や直売所など一部の施設の建設は認められていますが、そのほかの開発行為はできません。

 

2022年生産緑地問題とは

生産緑地制度によって都市部にある多くの農地が生産緑地の指定を受けてから30年が経過する年が2022年です。

生産緑地の指定期間は30年です。

期限を迎えた所有者は、市区町村に農地の買取を申し出ることができる定めがありますが、申し出を受けられるだけの財政的余裕がある自治体はなかなかありません。

結局、生産緑地は解除された後は税制面での優遇が受けられなくなってしまうのです。

その結果、多くの生産緑地が売りに出されて地価が急激に下がるのではないかとの懸念が生じました。

 

これが2022年生産緑地問題です。

 

次回も引き続き「2022年生産緑地問題」
についてご紹介します。

 


コンスピリートでは不動産管理会社の視点で、サイト内に学べるコンテンツを豊富に取り揃えております。

このブログを書いた人

コンスピリート・ブログライター
コンスピリートの公式ブログライターが 不動産に関するお役立ち情報をお届けします。